アナログレコード再生に新たに挑戦したい!昔の名盤や思い出の曲を聴きたい!レコードをデジタル化したい!、それらを実現する方法を考察します。
レコード再生と必要な機器
レコード再生やデジタル化に魅力を感じ新たに挑戦したい皆様に「レコード再生に必要な機器」と「オーディオ環境」、別記事では「レコードのデジタル化」をご紹介します。
アナログレコードの種類と特徴
・レコードの種類は「再生(回転)速度」、「レコードサイズ」、「モノラル・ステレオ」、「材質」で分けられます。
・当時のレコードの復刻盤・記念盤や重量版など、様々なバージョンが販売されている場合があります。特にリマスター盤は音質が調整(改善?)されている場合があります。
・同様にCD版が存在する場合は、レコードとの聞き比べも可能です。
- 回転速度:33.1/3、45、78、その他⇒新規にプレーヤーを購入する場合は33・45回転に対応していれば一般的なレコードの再生は可能です。
- サイズ:LP=30cm、EP=17cm、その他⇒LPはアルバム収録が多い。サイズは記録時間と関連しますが、EPは45回転・両面で2曲収録のシングル盤で提供されます。
- 高音質を追求した45回転LPや、モノラルのSPレコードなどもあり、それらの再生条件に沿ったプレーヤー・カートリッジ・イコライザーなどが必要な場合もあります。
レコードプレーヤー :レコードを再生する装置
新規にレコード再生に取り組まれる場合は必須の機器となります。
レコードプレーヤーの構造
レコードプレーヤーは複数のコンポーネントで構成されていますが、現在では「カートリッジ・シェル」以外のコンポーネント毎の購入は難しく、一体型商品が殆どを占めます。
- ターンテーブルとキャビネット:レコード盤を乗せ回転させる装置とベースキャビネット。
構造:ターンテーブルの回転方式は「ダイレクトドライブ」か「ベルトドライブ」が主流ですが、プーリーが直接ターンテーブルと接触回転する形態(比較的簡易な機器)や、逆にハイエンド商品には「糸ドライブ」なども存在しました。
目的:モーターの回転振動をターンテーブルに伝えない・回転速度を一定に保つ事(慣性質量を重くする、駆動力を強化する等)が重要な性能目的です。 - カートリッジ・シェル:カートリッジはレコードの音溝のトレース振動を電気信号に変換します。MM(Moving Magnet)型とMC(Moving coils)型に分けられますが、VM型はMM型に分類されます。なお、カートリッジはシェルに取り付け、アームと接続される構造が一般的です。
*VM型(Dual Moving Magnets)はV字型のマグネット配置から命名されたオーディオテクニカ社の商標です。 - トーンアーム:カートリッジを取り付けて、レコードの音溝をスムーズに移動させるアームです。パイプアームの形態やアーム長、材質・重量などが異なる様々な商品が存在します。針圧調整やゼロバランス・オーバーハング調整などの細かい設定が可能な場合は、レコードのトレース能力を調整できます。
「カートリッジ」はレコード再生の復活に伴い、様々なメーカーの素晴らしい商品を購入できます。カートリッジによる音楽の再現性や音色を楽しむ事が出来ます。
現在利用中のDENONのレコードプレーヤーと、VM型(MM型)のAT150Eカートリッジ+シェルです。カートリッジの種類により(MM型・MC型)、昇圧トランス又はフォノイコライザーを経由してプリアンプに接続しています。
*全てのコンポーネント(ターンテーブル・トーンアーム・ MM型カートリッジ)とフォノイコライザー を一体化したレコードプレーヤーも販売されており、内蔵フォノイコライザーのON/OFFを選択できる機種もあります。
* ダイレクトドライブ商品に比べ、バリューが魅力のベルトドライブプレーヤーは品質も価格に応じた(ある意味適正な)イメージがあります。実機確認をせずにWEB通販で導入する場合は、口コミ評価なども参考にされると安心です。
フォノイコライザー・昇圧トランス
フォノイコライザーの機能
- カートリッジの微弱な電流を増幅:アンプのラインに入力出来る様に調整します。
- RIAAカーブ:レコードの記録音の周波数補正(RIAA補正)を行います。
- MM型・MC型では特性が異なる為、MMのみ対応・MCのみ対応、両方に対応した機器が存在します。
単体のフォノイコライザー・昇圧トランスを使うケース
「レコードプレーヤー」または「アンプ」にフォノイコライザーが内蔵されている場合にはそれを利用する事も可能ですが、あえて単体の商品を使うメリットもあります。
- MCカートリッジを使う場合
- 内蔵のフォノイコライザーよりも高音質・高機能を求める場合など
MM/MCカートリッジの特性に合わせた設定が可能な機種では、インピーダンスとゲイン調整以外に、サブソニック機能が利用できる機器もあります。(例:ZENPhono)
MM用:ゲイン36dB、負荷抵抗47kΩ
高出力MC用:ゲイン48dB、負荷抵抗47kΩ
低出力MC用:ゲイン60dB、負荷抵抗1.4kΩ
超低出MC用:ゲイン72dB、負荷抵抗110Ω
*3機種ともMM・MC両対応ですので、カートリッジの交換毎に機器・配線を切り替える手間は必要ありません。
*iFI-AudioのPhonoは、サブソニックフィルター(超低音領域をフォルターする)が利用出来、さらにバランス出力も可能です。
*KOLGのDS-DAC-10Rは「RIAAカーブ」処理で特殊な位置づけの商品で、PC側でRIAAの割り当てをソフト処理できます。これのメリットはとても貴重ですので別記事で紹介します。
Phono入力があるAV・プリメインアンプ、フォノイコライザー内臓のレコードプレーヤーの接続方法
- 多くのAVアンプやプリメインアンプはPhono端子(MMのみに対応するフォノイコライザー)を装備しています。
- レコードプレーヤー内蔵・単体フォノイコライザー・アンプ内蔵のフォノイコライザーの複数環境が存在する場合は重複しないように注意が必要ですが、アンプのインプットを適切に接続する事で複数のレコードプレーヤー・カートリッジを切り替える運用も可能です。
① 一体型プレーヤーをアンプのPhono端子に接続する場合は、レコードプレーヤー内蔵フォノイコライザーはOFFにします。
②カートリッジ交換可能モデルにMCカートリッジを取り付けた場合は、内蔵のフォノイコライザーはOFFで、外付けのフォノイコライザ-⑤を経由したラインOUTが可能です。
③④フォノイコライザーが内蔵されていないレコードプレーヤーは、必然的に外部のフォノイコライザー、又はMM型であればアンプのPhono入力を利用可能です。
⑦⑧⑨アンプのラインに入力する場合は、必ずフォノイコライザー経由の接続を行います。
レコード再生環境のまとめ
レコード再生は「とても奥が深く」チャレンジの幅も広いと感じます。また、名盤に出会えた時の感動も図り知れません。素晴らしい楽曲と演奏、オーディオを楽しみたいですね。
レコードプレーヤの導入
- MM型カートリッジや内臓のフォノイコライザーが組み込まれた商品が比較的バリューです。
- アナログ機器はコストと性能が比例する可能性がありますので、購入前にご自身の目と耳で確認される事をお勧めします。
- カートリッジ交換や単体のフォノイコライザーなど、組み合わせ・音色の違いなどのオーディオ的な楽しみも探求できます。またターンテーブルシートや埃り取り・静電気防止剤など様々な商品が販売されています。光メディアに比べ交換・設定・メンテナンスに手が掛かる分、楽しみも深いと思います。