この記事を読むと、次の事が理解できます。
- DSDの「ネイティブ」表現が複数存在しますが、分かり易く説明します。
- それらの具体的な違いと再生の注意点が理解できます。
DSDのネイティブ定義について
DSDネイティブ再生(方式)とは?=DAC等の機器がDSDに対応している場合の表現
ネイティブ ”再生”・”方式” と言う複数の言い回しで混乱しそうなDSD用語ですが、DSD未対応のDACやオーディオインターフェースに対するDSD再生機を表します。
- 「DSDネイティブ再生」の場合
DSD再生対応機器ではDSDをそのまま再生しますが、機器とのUSB通信は「DSDネイティブ」か「DoP」かは問わず、「DSDネイティブ再生」と表現されています。 - 「DSDネイティブ再生」でない場合
DSD再生未対応機器では(DSDが再生出来ない為)DSDからPCMに音源を変換し、PCMサウンドを再生します。
DSDネイティブ転送(通信)とは?=ASIO2.1以降のDSDのネイティブサポート
ASIOとは「Audio Stream Input Output(1997年~)」の略で、ドイツのSteinberg(1984年~:現在ではYAMAHA傘下)が開発した優秀なサウンドドライバで、WindowsのDTM等では事実上のデファクトスタンダードな位置づけとなっています。
「ASIO Ver2.1ドライバ(2005年~)」で「DSD」をサポートした背景は、SONYがVAIO(当時はSONYのPCブランドでした)でDSDの編集・Media作成機能を市場投入するタイミングでスタインバーグに実装を依頼した事が発端です。SONYからの技術供与に基づき「サウンドドライバ」として最適化された「唯一のDSDネイティブ環境の実装」であったと言えます。
「DoP」が存在する意味
Mac OSでは「Core Audio」が標準のサウンドドライバですが、USB接続されたオーディオインターフェース等との通信では「DSD」には対応しておらず、またASIOドライバも利用できません。
結局「Mac OS」からはDSDをPCM通信に見せかける「DoP(正式には:DSD Audio over PCM Frames)」技術(USBの32ビット伝送内にPCMサンプル毎の8ビットのマーカーをソフトウエア的に連続して送信し、DSDかPCMかをUSB機器側で判別する)仕組みによりDSD通信を実現しています。
- 音源データと関係ないマーカー情報が付帯される事の音質への影響
- 機器メーカー(ソフト・DAC等)毎に、マーカー送信を繰り返す仕様(複数回繰り返される事でDSDと判断する)が統一されていない事
- 上記がエラー処理となった場合等に、大音量や無音状態などのリスクが可能性として内在する事
*当然ながら各メーカーでは対策済で安心して運用可能と思います。
ヒント!:WindowsでのDoPの設定について!
Windowsでは「DoPのみ再生可能な機器」との接続以外では、”ASIO”によるネイティブ再生が可能ですので意識した設定を行いましょう。